黄昏に香る音色

終業のベルとともに、急いで、渡り廊下に向おうと、

教室を飛び出し、走る明日香。

廊下の右側に並ぶ窓から、夕焼けの木漏れ日が、明日香を照らし続けた。

だけど、明日香には前しか、見えない。

渡り廊下に繋がる出入り口が、見えた。

あの向こうに、ゆうがいる。

明日香は、切なさに胸が痛んできたけど…全力で、走り抜けようとした。




渡り廊下の手前まで来て、道を塞ぐ者がいた。

高橋だ。

高橋に目もくれず、横を追い抜こうとした。

高橋は、明日香の腕を、強引に掴んだ。

「もういかせない!」

痛いほど、高橋は掴む手に、力をいれていた。