黄昏に香る音色

とぼとばと、自分の教室にいくと、

今日も、里美は休みだった。

心配だけど、

明日香には、どうしたらいいのか、わからない。

すべてが、どうしたらいいのか、

明日香には、わからなかった。




休み時間を使って、すべての三年の教室を、まわったけど、

ゆうの姿は、見つからない。

昼休みも、ランチを食べる時間を惜しんで、

明日香は、校内を探し回った。

でも、

ゆうは見つからない。

やっぱり

放課後しか…。

体育館とは、反対にある食堂を探した帰り、

グランドの向こうに見える体育館と、

渡り廊下。

明日香は、しばらく渡り廊下を見つめ、足を止めた。

あそこでしか…ゆうには会えない。

明日香はなぜか、そう思った。

だから、もう探すのは、やめようと。

大人しく、自分の教室に戻り、時がたつのを待つ。

黄昏の刻まで。

それは、明日香にとって、運命の刻となることを、

明日香は知らない。