葉桜~late spring days

 私と同じクラスの子に告白されて、それを断ったと聞いたとき、表面上は興味ないって顔をしたけど、本当はすごく気になった。その子は、クラスではそんなに目立たないけど、おっとりした和風美人で、ひそかに人気があるっていう噂の子だったから。並んで歩いていたら、とってもお似合いじゃないかと思える子だったから。

 なんで断ったの、なんて聞けなかった。聞いたら教えてくれたかどうかも分からないけど。聞いてどうしたいというのも、よく分からないけど。

 奏太が別のクラスでよかった。心底そう思った。同じクラスだったら、きっと言わなきゃよかったような言葉を、思わずぽろぽろ出してしまっていたかもしれない。

 恋愛とかを持ち込んで、女子率のほうが高い部活内、特にパート内に面倒な空気を持ち込みたくもない。それが心の中で一番の優先となっている。いいやつだよな、とは思うけど、恋愛対象として見てしまうと、パートが同じなだけに、面倒くさい。

 「晴香はさ、面倒くさいが先に立って、奏太くんのこと何とか除外しようとしていない」

 してないしてない、と即答したけれども、葵ちゃんの言葉が心にグッサリと刺さった。分かってる。奏太は、女子として何にも思わないのは難しいぐらい、いいやつです。毎日隣で見ていると、女子としては「そばにいたいな」なんて思ってしまう、そんないいやつです。