どこかで、「今声かけたら悪いかな」とか「逆に変なこと言って怒らせるんじゃないかな」とか勝手に思ってた。でもそれは、逆に奏太を一人で悩ませてしまっていたのかもしれない。

 すべてにおいて、私の方が心のどこかで、奏太の抱えている痛みだったり悩みだったり、それらを見ないフリして避けていたのかもしれない。全部というのは非現実で意味のないことだけど、1%ぐらいは軽くしてあげることもできたんじゃないかと思えてきた。考えごとをしている奏太に声をかけてたら、1%ぐらいは一緒に背負えたかもしれない。

 四六時中明るくいることも非現実だしおかしなことだけど、一日のうち7割ぐらいは明るい奏太でいてほしい。『笑う門には福来る』なんて自分で言ってたくらいなんだから。

 私には何ができるんだろう。大したことはできないけれども。