「晴香ちゃんってさ、恋愛対象としての好きがあったとしても、見ていないふりをするというか、そういうのは面倒とか、不器用さを分かっているから、お前の気持ちに気づいていそうで気づいていないんじゃないのかな」
泰一郎は鋭い。晴香と同じクラスだから余計にかもしれない。
同じ部活にいる1年の中で一番周りが見えていて頼りになる。僕が晴香を好きだということを最初に見抜いた張本人だ。そして、嘘をつくとあいつにだけはばれる。誰かがばらしたわけでなく、天性の勘が働くようだ。
大和と電車でばったり会った翌日、晴香にいつも通り接する自信がなくて、風邪引いたと言って部活を休んだ。その夜、泰一郎から電話があった。
「何があったんだか知らないけど、普通に話せないようになるんだったら、腹くくって、玉砕すりゃいいじゃん。失恋ぐらい大したことないって。奏太は物事を複雑に考えすぎるからさ。もっとシンプルに考えて動きゃいいんだよ。」
なんで玉砕前提なのかがよく分からなかったが、同じようなことを二人から言われると、きちんと告白して決着つけることでしか前に進めないということを痛いほど理解できた。確かに、複雑に、というか、どこかで拓人の存在に縛られて、気持ちの根っこを見失っていた。
泰一郎は鋭い。晴香と同じクラスだから余計にかもしれない。
同じ部活にいる1年の中で一番周りが見えていて頼りになる。僕が晴香を好きだということを最初に見抜いた張本人だ。そして、嘘をつくとあいつにだけはばれる。誰かがばらしたわけでなく、天性の勘が働くようだ。
大和と電車でばったり会った翌日、晴香にいつも通り接する自信がなくて、風邪引いたと言って部活を休んだ。その夜、泰一郎から電話があった。
「何があったんだか知らないけど、普通に話せないようになるんだったら、腹くくって、玉砕すりゃいいじゃん。失恋ぐらい大したことないって。奏太は物事を複雑に考えすぎるからさ。もっとシンプルに考えて動きゃいいんだよ。」
なんで玉砕前提なのかがよく分からなかったが、同じようなことを二人から言われると、きちんと告白して決着つけることでしか前に進めないということを痛いほど理解できた。確かに、複雑に、というか、どこかで拓人の存在に縛られて、気持ちの根っこを見失っていた。

