「コンクールまでの辛抱じゃねーの。ダイジョウブ、なんとかなる」

 そうだった。

 痛みとイラっとした気持ちの中で、自分の責任じゃないと言われて、心底ほっとして、また頑張ろうって気持ちになれた。奏太はなぜか私の心の緩め方を知っている、なんでかな、って思ったんだったな。

 ぐるぐるする考えを遮って目を閉じても、よく分からない夢を見て、目が覚めて、まだ夜でというのを何度繰り返しただろうか。

 つねられて痛かった合宿の夢の途中で目覚まし時計が鳴った。

 アラームの音を止めつつ時間を見ると、待ち合わせの2時間前だった。十分間に合う。

 カーテンを開けて空を見た。いい天気の日曜日。いったいどこに付き合えっていうんだ。