失くした表情とは無関係に そっと瞳をのぞきこめば そこにはちゃんとこころが透けて、 淵のような暗さを 無防備にさらけ出している。 その瞳を、ガラスの様だと思ったのは いつのことだったか。 あの眼は、どこへ行ったのだろう。 何も映し出さない、あの眼は。 ぽっかりと口をあけた 底の見えない深さに竦みながら、 私はずっと、魅せられている。 もう長い事、ずっと。 誰にも気づかれずに。