「・・・・・・」 とうとう思考に負けて、 口をつぐんだ。 なんだか泣きそうになって、 口の端を無理やり持ち上げる。 うまくいかなかった。 遼平君は不思議そうに、私を見つめる。 ガラスのような、眼だ。 「・・・その曲、すき。」 「え?」 「主よ、人の望みの喜びよ。」 「―――え?」 ふふっと、微笑んだつもりで ため息が混じる。 「さっき、お茶した所で、 流れてた曲だよね。」 「―――・・・。」 表情をなくしていた遼平君が 目を、見開いた。