「―――・・・」


その途端、驚いて私を見つめていた遼平君の顔に、

柔らかな笑みが広がった。


目を伏せて楽しそうに小さな声で笑い、

次に顔を上げた時にはスッキリとした表情で、

ためらっていたことを忘れたように、私を抱き寄せた。


「わかった、帰ろう。」


帰るよ、琴子。




おばけはまた
ひとりぼっちになりました

そんなおばけのまえに
べつのひとりぼっちのおばけがあらわれました

おばけはおもいきってはなしかけます
おばけもうれしそうにおへんじします

おばけはとてもよろこびました

もりも、かわも、そらも、どこへでもいけます

おさかなだったころとはもう、ちがうのです


ひとりぼっちじゃなくなったおばけは

はじめてどこかへ
いってみたいとおもったのでした