薄暗い部屋の中で、 押し殺したようにひそやかな息遣いが聞こえた。 亮介は何も言わずに 私に背を向けて横向きになると、また腕で顔を隠した。 「・・・ひでぇ事したのは、わかってる。 だけど、頼むから、 許して。」 かろうじて聞き取れた声は、 か細く震えて、頼りなかった。 私はそっと、亮介の頭に頬を寄せる。 亮介に気づかれないよう、髪にかする程度に口づけた。 「許すよ。」 亮介に、かけがえのない誰かが現れることを祈る。 今はただ、その誰かに、 私の中のありったけの想いを託す―――