気が付くと、亮介が静かに私を見ていた。
私の上からどくと、
隣りに手足を投げ出して寝転がる。
「あーー、つれぇ。
嫌われてもいいって思ったけど、やっぱ無理だーー。
嫌われんのが、一番キツイ」
腕で顔を覆っていて、
亮介の表情は見えない。
「亮介。」
私は起き上がると、
亮介の顔の辺りに膝をついて座った。
「亮介は将来、私の弟になるんだから、
・・・だから多分、キスくらいするさ。家族だもん。」
「日本だぞ、ここは。」
「・・・でも、大事だから。亮介が。
私はずっと、亮介のそばにいるよ。
絶対に、離れて行ったりしない。
だけどそれが、痛くてつらいっていうなら、
絶交してあげる。
私が一生、許さない事をしていいよ。」
亮介が腕をどけて、私を見た。
驚いて見開かれた瞳を、
真っすぐに見つめる。
それは、私の本心だった。
亮介がどちらを選んでも、
私は決して後悔しない。


