「なーにお前、べそかいてんだよ!」






突然、背後から聞き慣れた声がした。







「昌成……」






それは、クラスの中で一番仲のいい男子であり、一番ムカつく男子でもある、昌成だった。









「ここから先は、男子立ち入り禁止でーす。入っちゃいけませーん」








杏子が、座りながら昌成の立っている位置と私の座っているところの間を、手で境目を作った。









そして、私が睨みながら昌成を見た。





すると、昌成がぎょっとした様子で、


「なんだ、福本。また振られたのか!?」





こいつ…。まじでバカ。