【短編】大好きだとか、内緒だし。

 
すると、諸岡君は言う。


「ぷ。春田さんだって謝ってるし」

「あ」

「それと、返事は急ぎません。とりあえず、これ以上、春田さんに誤解をされたままじゃいけないと思って、アクシデントにかこつけて告白をしてみました。願ったり叶ったりです」

「正直だね、諸岡君……」


なんなんだ、もう。

敬語だし、告白は、真面目で誠意もあるのだけれど謝ってばかりで結局は面白いし、最後もえらく正直だし、でも可愛いぞこのやろー。


それに比べてどうだ、あたしは。

泣いて怒って、ティッシュも、使ったのもそうじゃないのも投げつけて、バカ丸出しだ。

いまだに諸岡君の周りに散乱しているティッシュを見ていると、自分のバカさ加減が具現化したように思えてきて、猛烈に恥ずかしい。

と。


「行こうか。試合、きっと止まってる」


そう言った諸岡君は、手早くティッシュをゴミ箱に捨て、きりりと引き締まった顔を見せる。

うん、と頷くあたしは、やはり勝負の顔になった諸岡君にもきゅんとする始末で、告白の返事は急がない、ということだったけれど、そう時間はかからず答えを出すだろう、と思う。


いや、とにもかくにも、今は試合だ。

こうなったら、絶対に優勝をもぎ取りたい。