【短編】大好きだとか、内緒だし。

 
そうして、散々当たり散らした挙げ句、クマの可愛いティッシュを無惨にも諸岡君の周りに散乱させたあたしは、きっと中断したままになっているであろう試合に出るため、保健室の扉を勢いよく開け、体育館に向かおうとした。

こうなったら、諸岡君抜きでも優勝してやる。

バスケはやっぱり、好きにはなれそうにない。

けれど、怒って気持ちが吹っ切れたのか、諸岡君を見返してやりたいのか、とにかく、試合に出てシュートを決めなければ……!という気持ちがふつふつと沸いてきて、目の端に残っていた涙を親指でささっと拭き取ると、あたしは、後ろ手で保健室の扉を閉めたのだった。


「ま、待って!話が……っ!」

「わわわっ!」

「全部、誤解だからっ」


しかし、格好よく出ていったつもりでいたのもほんの一瞬で、すぐに諸岡君に扉を開けられ、再び保健室の中に連れ戻される。

誤解、って、何を今さら……。

必死な顔であたしを引き止める諸岡君からは、けしてあたしを嫌っているから避けていた、というようには感じないのだけれど、今のは格好つけさせてよ、と内心恥ずかしい思いでいるあたしにとっては、いいタイミングだった、とはなかなか思えないのが実際のところだ。