___穏やかで、すべての始まりを告げる春。
ピンポーン。
聞こえよく、玄関チャイムの音が鳴り響いた。
「もう来たかぁ、今日は早いな~」
なんて呟きながら、
高校の真新しい制服を着て、スクールバッグを持って階段を降りる。
「はーい!!」
家中に響き渡るであろう、
いつもの大きな声で玄関チャイムに返事をし、
玄関を開けた。
そこに立っているのは、
きちっと着こなした制服に、
栗色のサラサラな髪の毛を耳の下あたりで二つ結びをした女の子。
「あんたいっつも遅過ぎなのよ~!」
「す、すみません」
毎日言われ慣れた台詞に、
申し訳なさそうな顔で軽く謝るあたし。