舞の心に住み続けているのは、元旦那の澤村さん。

オレには勝ち目がないんだと思った。

2人は想い合っている。

舞が寄りを戻すことに慎重になっているだけで、澤村さんの熱意が伝わるのは時間の問題。

だから、あきらめる決意をしたんだ。

最後の思い出として女々しく舞の隣で眠ったのだ。



ところが──。

事態は変わった。急変した。



ホテルを出た後、オレは舞が行ってみたいと言っていた渋谷へ向かった。

そして、何件かの店に入り、服や小物を見て回った。


舞と過ごす時間は楽しくて、これを最後にしたくないと思った。