「じゃあ、お前からな」
少し安心したあたしだったけど
目の前でニヤける有澤くんの顔を見ると…。
やっぱり不安ですっ!
「分かった…。明日の朝、渡します」
「ん」
緊張して思わず敬語を
つかっちゃった。
でもさっきより…。
正確に言えば、キスする前の有澤くんより。
こっちの穏やかで優しい彼の方が
あたしは好きだ。
安心するから。
そして、有澤くんは
暖かくて大きな手のひらを
あたしの頭の上に置いた。
「楽しみにしてっから」
企み笑顔なのは変わりないんだけど
あまりにもその時の彼がかっこよく見えて。
ちょっとだけドキッとした。
台詞を吐いた後、
ポンポンと優しく撫でてくれた。


