「俺の事、嫌いになった?」



昨日より少しトーンが下がる声。





“嫌い”

“別れる”



この2つの言葉が脳裏に響く。





有澤くんは俺様で…。


本性は狼みたいな人。




だけど、嫌いにはなれない気がした。



今のこのモヤモヤした気持ち、

まだ正直分からないんだ。



なんでこんなに複雑なのか。


『別れる』って言葉も

『嫌い』って言葉も言えないのか。





「…分からない」



ボソッと有澤くんに

聞こえるか聞こえないかくらいの声で

無意識に呟いていた。