何もかも、諦めた瞬間。



あたしの顎を持って

グイッと上を向かせた。




「なんで泣いてるの?」

「なんでって…」



あまりの近さに

再び俯こうと思っても

有澤くんがそれを阻止する。



下を向かせてくれない。


有澤くんの瞳に、捕まってしまった。





これ以上はおかしくなりそうだから

とりあえず目を逸らした。




「こっち見ろ」





……え?


『こっち見ろ』!?