あたしはふいっと目を逸らすと荷物を持ち上げた。

「ほんと、大丈夫だから…。お風呂と服乾かしてくれてありがとう。」


あたしは男の手を振り払うと玄関まで小走りで向かった。





「涙。」


男はぽそっとあたしの背中に向かって呟いた。

あたしはビクッと立ち止まり振り返った。


「ぇ?」

「涙って書いてルイって読む。」


涙はそう言うとあたしの元へ歩いてきた。