「真綾ね…。」


男はそう言うと前を向いてなにも言わなくなった。



雨が車を打ち付ける音だけが鳴り響く。


静かな車内は、なんとも言えない空気だった。





「ねぇ…。」

あたしは口を開いた。


「なんだ?」



男は目線だけをこちらへ向けた。




「なんであたしに構うの」



あたしはずっと疑問に思っていた事を聞いてみた。

こんな汚くなったあたしに構うなんて、この人はどうかしてるんじゃないかと思うほどだった。