あたしは車に入ってからどれだけ自分が冷たかったのか改めて実感した。 手は真っ赤で凍傷を起こしかけていた ドロドロの服は雨を含んで重かった 「お前、名前は?」 ふと、隣で運転している男が言った。 「……真綾」 あたしは一瞬偽名を使おうか迷ったが、何故かこの男には本名をぽろりと言ってしまった。