「上手でも下手でもない選手だったけど、とにかくバスケが大好きだったの。プレーが上手くいった時なんかはうるさいくらいにはしゃいでたし、チームプレーで点が決まった時なんかはなおさら」
母さんは、本当に懐かしそうに目を細めた。
あたしは練習を忘れて、母さんの話に耳を傾けていた。
「でも中2の時ね、バスケできなくなったの」
「え…」
なにか、あったんだろうか。
「膝に、水が溜まっちゃってね。ドクターストップかけられて、お医者さんに、バスケやめなさいって言われたの。お母さんにも」
膝に水が溜まった………?
「このまま続けたら悪化して、最悪歩けなくなるって言われちゃったもんだから、やめるしかなかったのよねー…」
母さんに、そんなことがあったなんて、知らなかった。



