「おはよー棗ちゃん」
「おはよっす」
1学期始業式、今日から3年生。
最高学年。
学校には、家が近所の加藤 蒼乃(かとう あおの)と通っている。
小学校からの付き合い。
かれこれ9年目に突入いたします。
「ねー、今年は新入生来ると思う?」
「さーあね、どーだろ? 来ないんじゃない」
「えぇっ」
あたしがそう答えると、蒼乃は途端に、今にも泣きそうな顔をする。
…なんでそーなる。
「私、後輩来てほしいよぉっ! 先輩って呼ばれてみたいよぉっ…」
「…あ、あー…なるほど」
可愛いこと言うじゃないかこの子は。
「仕方ないじゃんか。ド田舎だし、子供少ない…少子化? …あと過疎化? だっけか」
「………」
……黙らないでくれる。
少し潤んだ目で上目遣いであたしを見ないで。
……あ、この会話に違和感を覚えた方も、少なからずいるのでしょうかね?
あたし達の通うM中は、北海道のド田舎にあるボロ中学校。
開校100年だっけか。
歴史ある中学校です。
まぁ、ド田舎ってこともあり、都会に引っ越す人もたくさんいて、自然とこの村からは人が少なくなっていった。