「キスはさせてくれるのか?」

「それはまぁそれなりに」

「いいじゃん。キスだけでも。オレなんてキスする相手もいねーし」


啓介がやや投げやりな言い方をして、笑ってしまう。


「亮二の悩みは贅沢だな」

「贅沢か? オレ的にはけっこう真剣に悩んでるんだけど」

「心当たりは? 拒みたくなるような一言言ったとか?」

「ないな」


キッパリ言い切る。

思い当たる節はないんだけど。


「寺原は拒む時、何て言うんだよ?」

「体調悪いの一点張り」

「妊娠でもしてたりしてな」

「いや。そんな感じでもないな」

「もうさ、やらしてくれないなら、オレと風俗行こう」


啓介が腕を組んできた。