別に笹原さんが、どれだけもてはやされても構わない。

ただ、この状況を面白く思ってないのはりかちゃんだった。





「お疲れ様です。お先失礼します」


笹原さんが丁寧な口調で、事務所の出入り口で挨拶をして出て行く。



「お疲れー」


皆、口々に挨拶を返す。

男性社員はどこかデレデレしている。



「笹原さんって、魔性の女ですよね」

笹原さんが出て行くのを確認したりかちゃんが言った。

「魔性?」

「何か笹原さんが来てから、男子達が緩んでる気がしませんか?」

「うーん…」

あたしは返答に困った。