「はぁはぁ…」


会社に着く頃には息が切れていた。

肩で息をしている。


6月の終わりともなれば、さすがに暑い。


更衣室で汗を拭いていたら、


「あら、おはよう」


笹原さんがいつもの眩しい笑顔で入ってきた。


更衣室はあたしと笹原さん2人だけだった。


「おはよう」

「寺原さん寝癖ついてる…っていうか、髪もボサボサじゃないの!」

「あー。寝坊しちゃって」


あたしは力なく笑う。


「はい。これ使って」

笹原さんは、自分のロッカーから寝癖直しを取り出して、あたしに渡した。