死神と騎士

ロイはアルを眺めつつ、ぼんやりと考える。

――――bloody thorn…戦場の血を吸い成長する茨。

出逢えばことごとくその血に濡れた茨の餌食になる。

出逢えば、生きては帰れない。

ロイも噂くらいなら聞いたことがあった。

まさか、自分と同じくらいの少年だとは…。

キン…澄んだ金属音が、ロイの意識を引き戻した。

みると、アルが剣を鞘に仕舞っている。

そして、ゆっくりこちらへ歩いてきた。

ロイは無意識のうちに呟いていた。

「エレファリア家の姫を連れ戻す。…それが依頼の内容だ」

ロイの横をすり抜けようとしていたアルがピタリと立ち止まった。

「そうか…。」

アルが低く唸った。

その声が少しだけ震えていることに、アルは自分でも驚いた。

ついにここまで追っ手がかかったのだ。お父様の仕業だろう。

私が姫だとばれたら、連れ戻されてしまう。

「じゃな」

背を向けて立ち去ろうとするロイ。

考える前に、口が勝手に動く。

「その依頼、俺も同行する。」

「はぁ?…何、いきなり。」

呆れたようなロイの声。そりゃあそうだろう。

私だって自分の口から出た言葉に驚いているのだから。

「ふん。今、決めた。何がなんでも付いていく、気にするな。」

「まぁ、いいか…。邪魔だけはするなよ」

「分かっている。」

燃え上がる夕日が、二人の後ろ姿を朱く、紅く染め上げていた。




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