死神と騎士

慌てて自分も抜刀し、迫る刃を上方に跳ね上げる。

一瞬、少年の懐が空くのを見逃さず、そこに飛び込み、しかし少年がそれを許さなかった。

ありえないほどの速さで引き戻された白刃が、アルを狙う。

「ツッ…!」

すぐさま攻撃を中断し、横に飛ぶ。ブーツの踵が砂塵をまきあげた。

顔を上げると、今、こうしている間も少年の服が紅に染まっていく。早期決着が望ましいだろう。

そこまでを0.5秒で考え、結論を出し、アルは飛んだ。

「やぁぁっ!」

裂帛の気合とともに剣を振り上げ、振り下ろす。

全体重を乗せた一撃に少年が少しふらつく。そこを逃さず、ビッ、と剣を首元に突きつけた。

「ッッ…!」

「お前、名は?俺は、アルだ。」

「…ロイ」

「さあ、話を聞かせてもらおうか。」

「それは、無理だな。話すことなんて、無い」

沈黙が続く。と、ロイの体がぐらりと傾き、地面に倒れ込んだ。

「おっと」

応急処置のやり方なんて知らないので、とりあえずとばかりに適当に包帯をきつく巻き、ぐったりとしているロイを肩に担ぎ上げて家へと歩きだした。

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