男にこんな感情を一瞬でも抱くなんて有り得ない、そう思いつつも、ロイは動いていた。
「アル、行くぞ。」
その華奢な手を取り、引っ張る。
「アルさん、ねぇ、悪い話じゃあないと思うんですよ。どうか、」
下卑た笑い声が響き、粘ついた視線がアルを物色する様に舐めまわす。
「どけ。」
ロイは息を短く吐き出した。瞬間、ロイが放った殺気に射すくめられた男が固まる。
掴んだアルの手が震えていることに気がつき、本気でこいつら全員殴り倒したくなった。
乱暴に扉を押し開け、外へ出る。
ふわりと風が吹いて、二人の髪を揺らす。
「アル、行くぞ。」
強引に引っ張って歩き出す。
とにかく今は一刻も速く、早くあの場所から離れたかった。
アルは目の前のロイの背中を見つめながら、溜息をついた。
性別を偽り、剣士として身を立てているというのに、先ほどの有様はなんだ。
いくらあのような男に近寄られたのが初めてだったと言っても、うろたえた自分が恨めしい。
その時になって、まだ手を繋いだままだった事に気がつく。
慌てて振り払うと、ロイが振り返った。
「あ、ごめ、」
その口が何かを言おうとして、開いた。
瞬間、アルは電光石火の早業で紙袋に手を突っ込み、冷めかけたサンドイッチをロイの口に押し込んだ。
「ふぐっ!?」
ロイは突然の事に目を白黒させていたが、やがてそれを咀嚼しはじめた。
「アル、行くぞ。」
その華奢な手を取り、引っ張る。
「アルさん、ねぇ、悪い話じゃあないと思うんですよ。どうか、」
下卑た笑い声が響き、粘ついた視線がアルを物色する様に舐めまわす。
「どけ。」
ロイは息を短く吐き出した。瞬間、ロイが放った殺気に射すくめられた男が固まる。
掴んだアルの手が震えていることに気がつき、本気でこいつら全員殴り倒したくなった。
乱暴に扉を押し開け、外へ出る。
ふわりと風が吹いて、二人の髪を揺らす。
「アル、行くぞ。」
強引に引っ張って歩き出す。
とにかく今は一刻も速く、早くあの場所から離れたかった。
アルは目の前のロイの背中を見つめながら、溜息をついた。
性別を偽り、剣士として身を立てているというのに、先ほどの有様はなんだ。
いくらあのような男に近寄られたのが初めてだったと言っても、うろたえた自分が恨めしい。
その時になって、まだ手を繋いだままだった事に気がつく。
慌てて振り払うと、ロイが振り返った。
「あ、ごめ、」
その口が何かを言おうとして、開いた。
瞬間、アルは電光石火の早業で紙袋に手を突っ込み、冷めかけたサンドイッチをロイの口に押し込んだ。
「ふぐっ!?」
ロイは突然の事に目を白黒させていたが、やがてそれを咀嚼しはじめた。
