死神と騎士

真上に昇った太陽が雲一つない蒼穹の空に輝いていた。

眩しさに目を細め、アルは歩き出す。

さすがに真昼とあって、聖都の大通りは混み合っていた。

普段は煩わしく思う周囲の喧騒も、今ばかりは雰囲気を盛り上げるのに一役買っている。

「そこの騎士さん、旅のお供にこの短剣はどうだね。」

「あらあら、そこの綺麗な剣士さん、これはいかが?」

次々かけられる言葉に辟易しつつ、全て断って、やっと目的の路地を見つけた。

全てが白い大理石でできたこの街には不釣合いな黒い店。

それが狭い路地の間にぴったりと収まっているのだ。

ドアを開けると、ギギィ、と軋んだ音がした。

埃っぽくて薄暗い店内には所狭しとなんだか怪しげな薬品や、用途が全くわからないような品物が並んでいる。


実はアルが聖都に来るのは初めての事では無い。

旅の途中にも何度か立ち寄ったことがあるし、エレファリア家の娘として正式に赴いたこともあったりするのだ。