死神と騎士

宿を借りて、部屋へ入った。

アルはベッドに腰を下ろし、血がこびりついた靴を脱ぎ捨てた。

傷口からは未だに血が流れており、それを無造作に拭う。

消毒液などは無いので、水に患部を浸す。

刺すような痛みが走り抜け、思わず顔をしかめてしまう。

結構な深手だった。

治るのに時間がかかるかもしれない。

包帯なんてものは持ち歩いていないので、白いハンカチを裂き、とりあえず巻きつける。

しかし、それもあまり効果が無く、すぐに血を吸って重くなってしまう。

と、ノックの音がした。

「誰だ?」

アルの誰何(すいか)の声に苦笑する気配がして、

「ロイだよ」

ドアを開けてロイが入ってくる。

「何だ?」

思わず不機嫌な声で返してしまう。

「薬。……深かっただろ、傷。」

言葉と共に投げ渡された袋を覗くと、傷の手当に必要な物が幾つか入っていた。

意外によく見ている。アルの傷を見たのはほぼ一瞬だったのに。

感心しつつ、血の色の染まったハンカチを取り去る。

途端に血が溢れてきて、床を汚した。