5月下旬に、まだ肌寒さが残る春
一人の少女は、佇んでいた



「ここが有名な前川高校」



手に持った地図と名前を
照らし合わせて見る


「案外来れちゃうもんだね」


地図に書かれた、御世辞でも
うまいとは言えない地図



「つーチャンも、もう少し


絵が上手かったらな〜」


地図を降りたたたみ、鞄にしまう


「さて行きますか」


意を決して、一歩を踏み入れた