はじめてを、君と。【完】


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私はあのまま、洸に空き教室へ連れてこられた。

沈黙を破ったのはホームルームの始まるチャイム。




「…で、さっき言ってた女の人って何。」

ビクっ、と身体が震えるのがわかる。

洸の声は、いつもより1オクターブ低い。

「え、…と…」

「何って聞いてんの。」

…てゆーか何で?
何で洸がそんなに偉そうなの?
浮気されたのは私なのに。

傷ついたのは私なのに…!

「なによ…!
私昨日見たんだからっ!」

私が叫んだ途端
洸の眉間にシワがよる。

「見たって何を?
主語がないとわかんないんだけど。」

怒ってる。怒ってる。
だから、何で洸が怒るのっ。
だから、

「きれいなおねーさんと、楽しそうにマンション入って行ったじゃん!」

言ってしまった。

「私にはキスしかしないのにっ…
きゃっ…!」

そうまくし立てた途端、背中に机の冷たさを感じた。

前にはあと10センチで触れる位置の、洸。

押し倒されてる、そう理解するまでにコンマ10秒。


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