っ!?!?!?
らしくもなく物思いに沈んでいたせいで
気配に聡い陽凪には珍しく
近づいてくる気配に気がつかなかった。
「…あ、あなたは確か……。」
?「あ、すみませんっ!
楠です、楠小十郎。
和泉陽凪さんですよねっ?」
……楠小十郎。
後に新選組美男五人衆とよばれるほど
かなりの美形。
陽凪も彼のことは稽古場などで
たまに目にしたことはあったが、
話しかけられるのは初めてだった。
「…そうだけど。
何か用事ですか?服が破れたとか…」
楠「いや、そういうわけじゃ……。」
はぁ?じゃあなんの訳で
私に話しかけてきたのよ。
楠「…和泉さんの元気がなかったから。」
楠は顔を赤らめながら俯いた。
「…あぁ、ごめんなさい。
もう大丈夫だから。」
なによそれ…
はぁ、平隊士に心配されるなんて
思ってなかったわ。
でも、隊士の人に気づかれるなんて
ちょっと態度を見直さなきゃね。
