沖田side
朝から土方さんに呼ばれて、
陽凪ちゃんへの伝言を伝えられた。
まったく、面倒ごとはすぐ押し付ける。
まぁ、陽凪ちゃんと話せるから
いいんだけどね。
彼女はこの時間、いつも勝手場にいる。
彼女の作る食事は、美味しい。
屯所に来たての頃は間者じゃないか
ってみんな疑っていた。
僕も勿論彼女を監視していた。
彼女は時々誰もいないときに
ものすごく淋しそうな目をする。
気配に聡い彼女でも、
この時ばかりは気配を気にしない様だ。
そのことに彼女自身は、
全く気がついてないんだけどね。
「陽凪ちゃん♪
今日もよく働くね、君は。」
そう、この子は顔色一つ変えずに、
屯所の雑務を毎日こなしながら、
3番組隊士としても働いている。
あーあと、気に食わないけど
土方さんの小姓もしている。
「…あれ、その傷どうしたの?
それに、血の臭いも。」
微かに彼女から血の臭いがする。
それに腕に包帯を巻いている。
でも、包帯が巻かれた箇所からは
血の臭いが全くしない。
だから僕は彼女に、
包帯を巻いている理由を尋ねた。
まぁ、見事にはぐらかせされたけど。
怪しいとおもったけれど、
とりあえず引くことにした。
彼女は僕たちに心を開いていない。
毎日雑務や隊務をこなしているけど、
僕たちを信頼しているわけではない。
彼女の瞳がそう訴えていた。
どうして?陽凪ちゃん。
とりあえず包帯の事は秘密にしとこう。
沖田side end
