あれから数刻が過ぎた。
もう外は真っ暗になっていた。


見張りは天井に1人と襖の前に1人。
気配からすると、原田さんっぽい。
この人数なら抜け出せそう。
このままここに居ても、時間の無駄。
1人でも長州の奴等を殺ったほうが…
よしっ。

バンッ!ダッ!

勢いよく襖を開けると、
原田さんの驚いた顔を横目に
全力で走った。

原「っ、おい!逃げんじゃねー!!」


よし、原田さんはまけそう。
後は土方の部屋に行って刀を…。
って!やばい!
前から永倉さんの気配がする。
どうしよっ…。


「うわっ!!!!!!」

バタンッ!

あーやっちゃった。
和泉陽凪、逃走計画失敗です。

永倉さんと原田さんの気配に
気を取られていた私は、
横の部屋にいた沖田さんの気配に
全く気がつかなかった。
いきなり部屋に引きずりこまれた私は
沖田さんに手首を掴まれ、
押し倒されていた。


沖「…君の勇気は認めるけど、
クスッ、残念だったね。」

顔を正面に向けると、
不気味な笑みを浮かべながら
殺全身から殺気を放っている沖田さんがいた。