そして夜。
教会に行くと彼女がいた。
目が合い手をふってくれた。
合唱が始まりその歌声に魅了されながら聞いていた。
合唱が終わると彼女は、こっちへ来てくれた。
「とてもうまくて感動しました」
「本当ですか、ありがとうございます」
「家はここから近いですか」
「はい、すぐそこです」
「送ってきます」
「いいですよ近いですし」
「送っていきます」
必死の説得にようやく承諾してくれた。
彼女を家まで送るまでの帰り道、公園の横を通った時だった。
「なんだこれ」
顔になにかが落ちてきた。
よく見るとそれは桜だった。
「桜…」
「えっ?」
「あっ、そっちの桜じゃなくてこっちの桜」
「何それ変なの」
彼女はクスッと笑った。
「あの、さくらさん」
「さくらってよんで、あと敬語もなしね」
「あ、はい」
「また敬語じゃん」
そんな他愛もない話が楽しくて仕方なかった。
しばらくして、彼女の住む寮についた。
「今日はありがと」
「おう、身体気つけてな」
「ありがと、じゃあおやすみ」
「おやすみ」
こうして内容の濃い一日が終わった。