窓から差し込む眩しい光を浴びて
目が覚めた。
手にはあのハンカチがあった。
「そうだ、返しに行かないと」
簡単に身支度を済ませ、教会へ向かった。
歩き始めて数分で教会についた。
教会の古く重い扉を開け中へと入った。
誰もいなかった。
それもそのはずまだ朝の9時だ。
昨日教会に行ったのは、早からずも
8時頃だった。
どうしようか迷っている時に教会の奥から
神父さんのような人が現れた。
「お一人でお祈りですか素晴らしいことですね」
そう声をかけられた。
「いえ、このハンカチを返しに…」
「あの、学生はいつきますか」
「学生ですか?学生…」
「ここで夜合唱している学生です!」
「あぁ、大学のサークルの人達のことかね」
「サークルなんですか!?」
「あぁ、彼女達はこの教会をもっと多くの人達に知って欲しい。とボランティアで合唱してくれているんだ」
「そうだったんですか」
「何かあればいつでも声をかけて下さいね」
神父さんはそう言って去って行った。
その時初めて彼女達が大学生だったことを知った。
大学のサークルで合唱していて…
頭の中で自分が今日知ったことをぐるぐると考えていた。
もっと彼女のことを知りたいと思った。
すると、後ろから女の子達の会話が聞こえてきた。
彼女達だった。
勇気を振り絞って声をかけた。
「あ、あの…これありがとうございました」
「え、あ、昨日の!」
「そうです、ご迷惑をおかけしました」
「迷惑なんてそんなことないですよ。」
「ありがとうございます、今から合唱するんですか」
「今日はこの教会にお別れの挨拶をしにきたの」
「お別れ!?なぜですか」
「私とあとの何人かはもうすぐアメリカへ留学に行くの。それでもう当分はこれないからお別れしに来たの」
「そうだったんですか…留学頑張って下さい」
「ありがとうございます。あの、もしよかったらお茶でもしませんか」


