―――屋上から、真っ逆さまに落ちている。
「え…」
一瞬だけ見えたあの顔が頭から離れない。
逆井は涙を零しながら私と共に落ちていく。
なんで?
なんでこんなことに?
なんで私は今逆さまなのだろう。
足をつく場所がない。
逆井は小さく、
「ごめん」
と言った。
私も言わなきゃ。
最後に言わなきゃ。
言わなきゃ!
「私も…………、」
下にクワの実が見えたのは気のせいだろうか?
地面に頭を叩きつけられる。
痛い。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
視界が真っ赤になる。
痛みは身体に染み込んでいき、意識が、私が遠のいていく。
声が出ないよ。
言いたい、言いたいよ。
『逆井のことが好きでした』
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・
「はあ…」
2人の亡骸の前に立ち、それを見下ろした。
また消えたね。
最初から逆井を助ける気なんてなかったけど。
あの子は……、やっぱり、2人共許せないよね。
「…はは」
クワの花言葉。
『貴方の全てが好き』
もうひとつの花言葉は――…
『ともに死のう』

