-中学1年生-

「…1組……やった-!!!和葉-!!!」
「結糸と一緒だ♪!!!」
和葉とは小5の頃からの心友。
半年くらい口をきかなかったり,泣きながら言い合ったり,ケンカもいっぱいした。
でも,だから心友なんだと思う。
もちろん今でもケンカするケドね。

あたしと和葉はざわついている教室へと入り席についた。
「どんな人がいるカナ?」
「あたしは先輩が見たいな」
なんて今なら笑えちゃうような話をしてたら
担任になると思われる先生が教室に入ってきて「廊下へ並べ-」と言った。
あたしは"伊藤結糸"で和葉は"菅原和葉"だから和葉はあたしの少し後ろだった。
だからあたしは後ろの女の子と話し始めた。
後ろの女の子は"優"といった。
あたしは156㌢で大きい方だったけど,優はもっと大きかった。
部活の話をしていたら優の後ろの男子によばれた。
そいつは同小の俊介。
「何?せっかく話してたのに-!」と言うと
「和葉。よんでって頼まれた。」とあっさり返されてしまった。
とにかくよばれたみたいだったので和葉に「何-?」と返事をしたら,和葉は「あの人おっきくない!?」と一人ではしゃいでた。
ケド,正直ど-でもよくて「んだね-」とだけ返事をした。

そして吹奏楽部の演奏と拍手のリズムに合わせ,退屈な入学式が始まった。
我校の入学式は全員の名前をよばれることから始まる。
あたしは1年1組1番でトップバッタ-だったから緊張は少なくて済むケド,その分退屈しまくりで睡魔におそわれていた。
その時…!
「はい」
誰かが返事をした。
返事が聞こえるのは当たり前だが,なんていうかすごく目が覚めてしまった。
眠たそうで"汗"っていうか"泥"が似合いそうなさわやかな声。
ケド甘くてあたたかい感じで…



ねぇ浩?
これがあたしの人生最初で最後の"運命"だったんだと思う。
これから先あたしにまた好きな人ができたとしてもこんな気持ちにはなれないんじゃないかと思うんだ。

ねぇ…答えて…
聴こえてますか?