あーすっきりした。


完全に二日酔いだ…。



「大丈夫か?」


「うん。
吐いたらすっきり。」


「ったく…
未成年が酒飲むからだ。」


「へーい。すみません。
で、何故アタシはオーナーの家にいるのですか?」


「昨日、完全に潰れたお前を家まで届けようとしたけど、ここのが近いし。
それに泣いてたから。」


「え?」


「美亜、夢見て泣いてたから。」


アタシが泣いてた…?


「あー、ちなみにここ晴樹ん家だから。」


「えーッッ!?
じゃあ、この服も…晴樹さんの服?」


「ああ。
着替えたのは、美亜だからな。」


アタシ、自分で着替えたんか。


「晴樹さんはどこにいんの?」


「もうすぐ起きてくんじゃね?
自分の部屋で寝てる。」


「アタシが寝てたベッドは?」


「ゲスト用的な。」


ゲスト用にキングサイズのベッド…


ザッ金持ち。


「なあ、美亜。
母親に会ったりしねえの?」


「会わない。
てかいきなり何?」


「いや、寝言で泣きながら言ってたから。
お母さんって…」


「お母さん…?
アタシ、母親のことお母さんなんて言ったことないし。」


「そうか。
いつから会ってないんだ?」


「中学卒業してから。
オーナーにだけ教えてあげる。」


ちょっとだけ話してみよ。
泣いてたとか気持ち悪いし。


「それ、俺も聞いていい?」


「晴樹さんなら。」


晴樹さんならいい。

一応、迷惑かけたし。


「ありがとう。美亜ちゃん。」


「アタシの母親さ、
クラブのママやってんの。で、昔っから男ぐせわるくて…
店の客だろうが誰だろうが寝る人だった。
当然、シングルでアタシには母親しかいなかった。

毎日、違う男が家に出入りしてさー、
アタシには、居場所がなかった。

さすがにヤってるとこ
見たくないし。
だから、母親の店に行ってたりした。」

オーナーと晴樹さんは、
静かに聞いてくれている。


「中学1年時、母親にまた彼氏ができた。

20さいだよ?
ふっ…笑っちゃうよね。
三十路なんてとっくに過ぎたババーがさ20さいに手を出してんの。
で、アタシは家に帰んなくなった。
こん時くらいから、体売ったり、男捕まえたりしてた。
で、中学卒業して、言われたんだ。

『邪魔だから出てけってね。』

元々、出てくつもりだったから良かったけど。


ま、他にもいろいろあるけどね。

今日はこれだけ。」



あのことは、知られたくない。