墓の前でのぞみとの思い出に浸っていると、足音がした。


振り替えれば、
そこには一度だけ会った
相変わらず細くて色白の
女の人がいた。



のぞみの母親だ。



「あなた…雪夜くん!?」


「お久しぶりです…」


「来てくれたのね。
のぞみ、喜ぶわ…」


少し悲しそうな顔を見せられると胸が痛い。



のぞみの母親は、
すごくのぞみを愛していたから。


「あの…今更謝っても済まないのかもしれませんが…
本当にあの時はすみませんでした。」



深々と頭を下げると…


「頭を上げて…」


そう言われ頭をあげると、ギュッと手を握られた。


な…何だ!?



「あの…!?」


「謝るのはあなたじゃないわ…私よ。」


「いや…俺のせいです。
俺が勝手にふたりで逃げようなんて言い出したから。」


「そこまで追い詰めたのは私と主人よ。
のぞみを人形のように扱う主人に逆らえなかった…
そして、あなたたちを応援できなかった私が悪いのよ。」



「そんなことありません。」


「いいえ…
ずっと苦しかったでしょう。
もう自分を苦しめないでいいのよ。」