期待しすぎるな、と警鐘をならしている。 でもこれ以上、慶仁さんに甘えてばかりはいられない。 あの場所から出してくれただけでも、感謝しきれないのに。 迷惑は掛けたくない。 これからは、一人で生きて行けるようにならなくては――――――― 「では、行ってきます。」 「あぁ。気を付けてな。」 少し寂しそうな顔をした慶仁さんを残し、歩き出した。 私の知らない、新しい世界へと。