息も絶えだえになって、もう走れないと思った瞬間

不意に、後ろから温かくてほんの少し冷たい何かに抱き締められた。




『もう大丈夫。俺が守るから』




あぁ、知ってる。

この温もり、この声。




「冬夜、逢いたかった。」




彼の腕をギュッと握り締める。

そして、彼の顔を見たくて振り返った瞬間

眩い光に包まれた。




「とう、や・・・?」




閉じられていた目が、ゆっくりと開いていく。

それと同時に、さっきまで冬夜達を包んでいた嵐は

嘘のように、ピタッと動きを止めバラバラと大きな音をたてて

その場に落ちていく。