城壁の瓦礫が散乱する中

壁の一部と思われる大きな石の下から埃まみれの手が現れ

一気にそれを投げつけた。




「ってー・・・何があったんだ?」




首をポキポキ鳴らしながら、腕を回し

長身の体を起こすヒロ。




「ちょっと、危ないじゃない。投げる方向ちょっとは考えなさいよっ」

「なんだ、生きてたのか。」

「このバカ猿っ!!」




ヒロの投げた瓦礫のそばに居たのか

別の瓦礫の上に仁王立ちになり、ドンドンと足を踏み鳴らす紅寧。




「・・・どうでもいいから、俺の上から退いてくれ。紅寧。」

「?、あら。そんなとこに居たの、蒼生。」




紅寧の足元にあった瓦礫の下から

呆れたような、少し苦しそうな声が聞こえ紅寧がピョンと瓦礫から飛び降りる。