だけど、その理由は瑞姫には内緒。

だって男と男の約束だから。



そしてそこで、新たな出会いもあった。

森の中を散策していた、若き王。

白夜に会ったのも、この裏山だという。



友人になるのにそう時間は掛からなかったらしい。

その中で、強くなりたいという伊蕗の思いに賛同した白夜は

ヴァンパイアの力を使わない武術を教えてやる、といい

その日から、手合せをするようになったらしい。



だから、俺の師匠は伊蕗さんで

伊蕗さんの師匠は白夜、になるわけで。

要するに、俺は嫌いになる白夜の武術を伊蕗さんを通して

身に着けることになるわけだ。



約5年。

俺は、あの日の朝も伊蕗さんに武術を教わっていた。

それは奇しくも初めて伊蕗さんに勝つことが出来た日だった。

手合せした後、伊蕗さんはくしゃりと俺の頭を撫でて




「認めてやるよ、冬夜。」




って、初めて俺の名前を呼んでくれた瞬間でもあった。