俺の腕の中で、キャッキャ笑っていた瑞姫は
いつの間にか眠っていて、俺の胸に身体を預け
静かに寝息をたてている。
「あらら、眠っちゃったのね。重いでしょ?代わるわ。」
「いえ、大丈夫です。もう少し、このままでもいいですか?」
俺は、瑞姫を胸に抱いたまま彩姫さんと少し話をした。
彩姫さんは、今の自分があるのは伊蕗さんのお蔭だといっていた。
伊蕗さんと出逢うまでは、どんなに綺麗な花が目の前にあっても
その花を愛でることも出来ない
そんな自分の力が嫌で嫌で、外を出歩くことが少なくなっていたらしい。
そんな時、近所に住んでいた体の弱い伊蕗さんと出逢い
話すことが増えたおかげで、自分の力を認めることが出来た。
そして、伊蕗さんの言葉が彩姫さんの心を解放してくれたのだという。
だから今、こうして笑っていられるのだと。
そう彩姫さんは話してくれた。
俺も、瑞姫のそういう存在で居られたらいいな
その時、そう思った。

