だけど、その城に住んでいたのは
ほんの数年だけ、だった。
5歳を過ぎた頃には、俺は母親と一緒に
城内の一角にある離れに移り住んでいたから。
今思えば、アイツが・・・千景が現れてから
俺達親子の関係は、次第に可笑しくなっていったんだ。
そう、それまでは
アイツも父親で魔王で、威厳のある尊敬できる男だった。
ヴァンパイア界の秩序と、人間との共存を目指し
必要以上の血を流さないための法を設立し、その法を犯した者は
容赦なく処罰する。
そちろん、純血種だろうがハーフだろうが関係ない。
法がすべてだった。
その所為か、誰からも恐れられ、絶対的存在だった父親、百夜。

