彼の言葉に、不安が襲いかかる。

冬夜は今、私の隣にいるのに。

手を伸ばせは、すぐ届く場所に居るのに。

何故か、遠くに感じてしまう。




「冬夜・・・帰るって、学園よね?そうよね?」

「・・・瑞姫。俺は、アイツに会わなきゃいけない。遅かれ早かれ、いつかは。だから・・・」




冬夜が、お父さんに会いにヴァンパイア界へ帰る。

ヴァンパイア界には、お父さんだけじゃない。

教会の影の支配者、千景がいる。


そんなところに、冬夜一人で行くなんて。

ダメ。そんなの・・・そんなのダメよ。


冬夜が行くのなら、私も。

私は、あなたの傍を離れたくない。

大切な人を、失いたくない。




「冬夜。私も連れて行って。」

「ダメだ。瑞姫は分かってない。あそこは・・・あの場所は、危険なんだ。」

「なら尚更、私も一緒に行くわ。」